ファンタジー小説に憧れて
小説を書いてみようと初めて思ったのは小学生のときです。イギリスのファンタジー小説『ダレン?シャン』シリーズを読んだことがきっかけ。本を読むより運動するのが好きな子どもでしたが、足をケガして入院したときに本を手にするようになり、その後に夢中になったのがダレン?シャンでした。スラスラと読めて、ものすごく楽しくて、こんな面白い物語を自分も書いてみたいと思いました。
そんなきっかけもあって海外作品ばかり読んでいたのですが、中島敦著『山月記』や角田光代訳『源氏物語』、川上弘美著『神様』など、高校の先生が日本の小説の面白さを教えてくれて、それからは日本の小説も好んで読むようになり、高校を卒業する頃には本気で小説家になりたいと思うようになっていました。
横山ゼミとの出会い
どうしても小説が書きたくて、創作系の学びができる専門学校や大学を探していたとき、東海学園大学に出会いました。友人と一緒にオープンキャンパスに参加したとき、横山充男先生の体験講座を受けて東海学園大学に入学しようと即決。横山先生は1994年に『少年の海』という作品で第23回児童文芸新人賞を受賞した児童文学作家であり、横山先生に教えてもらったらどんな物語が書けるようになるだろうという期待に胸がふくらみました。
当時、横山ゼミでは、作品を書いてゼミ生同士で読み合って合評会をしていました。私にとってとても楽しく、永遠に続いても良いと思えるほど充実した時間でした。在学中にも公募に出したことはありますが、書き上げた作品数では現在と比較すると圧倒的に少なく、学生時代の自分にアドバイスできるなら「もっと書け!」と言いたいですね。
公募に挑戦し続ける日々
大学を卒業後、一般企業に就職して、ハンガリー人の主人と結婚。集中して小説を書く時間がなかなか取れなくなり、年に1作品完成できたかどうかという時期が何年か続きました。もっと書きたいという思いは強い反面、いつまで書き続けるのか、そもそも自分に才能があるのかという悩みもありました。
小説は読んでくれる人がいて初めて小説です。小説投稿サイトで公開するという方法もありますが投稿サイトも投稿する人も多く、数多くの作品の中に埋もれてしまいます。公募で賞を取ることで読んでくれる人がいる、ファンになってくれる人がいる、と信じて公募に挑戦し続けていました。
出版された本の重みに感動
仕事も結婚生活も中途半端に思えてきたとき、30歳まで公募で1次、2次落ちなら諦めようと、自分を追い込んで取り組んだところ、魔法のiらんど×ことのは文庫「心に沁みる和風あやかしの世界」コンテストで最終選考に残ることができ、準大賞を受賞。2024年5月20日には、ことのは文庫から『金魚姫と隠世の鬼灯』を出版するに至りました。
出版された本の重みには本当に感動しました。1冊の本が世の中に出るまでには多くの人が関わっています。できあがった本を手にしたとき、本の重みに泣きそうになりました。しかし小説の世界はシビアで、1作品目を出版したから必ず2作品目が出版されるとは限りません。
「良い作品を書き続けてください」と担当編集者さんに言われた通り、私もとにかく書き続け、公募にも出し続けています。先日は冬野夜空先生を特別審査員としたスターツ出版「第49回ノベマ!キャラクター短編小説コンテスト ワンナイト?ラブストーリー」で最終選考まで残ることができ、さらに、アルファポリス主催の「第7回ほっこり?じんわり大賞」で優秀賞を受賞できました。
新たな創作のステージに立って
以前、KADOKAWA富士見L文庫「富士見ノベル大賞」で最終選考に残ったことがありました。自分の方向性が間違っていないと教えてくれた賞でもあり、いつか受賞を目指しています。「富士見ノベル大賞」を含め、これまでと変わらず、いろいろな賞に挑戦中です。
今、1番の目標は2作品目を出版すること。次作はどんな物語になるのか、まだ自分でもわかりませんが、受賞後に出産を終えて子育てをしながらの創作活動という新たなステージに立って、そこから見える世界は、これまでとは違うはず。今しかできないことを体験しながら、新たな作品づくりに挑戦していきたいと思っています。同窓生の皆さんも、機会があれば本を手に取ってくださるととてもうれしいです。